年上スタッフに指導する時、私が意識したこと
はじめに
看護の指導は「やり方」よりも「伝え方」が難しい。
とくに、年上スタッフで、なおかつティーチング中心の“教え込む指導”が染み付いている人に
指導の改善をお願いするのは、とても緊張する。
でもある日、私は避け続けてきた壁に向き合うことになった。
その人は、経験豊富で患者理解も深いベテラン。
だけど フォローに入ると受け持ちスタッフの機会を奪ってしまう――
そんな指導スタイルが続いていた。
そして今日ついに、その場面を“目の前で”見てしまった。
これは伝えないといけない。
でも傷つけたくはない。
そして、ただ注意するだけでは意味がない。
だから私は、
研修で学んだ「指導と支援の違い」をベースに、
相手を尊重しながら伝えることを決めた。
朝の出来事:フォローが“代わりに全部やる”状態
フォローに入っていたPさん(50代ベテラン)は、
受け持ちスタッフが情報を取っている間に
どんどん医師に指示を確認し、計画を立て、動き始めていた。
まるで自分が受け持ちのように。
でも本来は、
受け持ちが「わからないことを確認する経験」を支援するのがフォローの役割。
だから私は、Pさんに静かに声をかけた。
私:「Pさん、その患者さん…今日、受け持ちでしたっけ?」
Pさん:「違うよ、と返ってきたその瞬間、私は自然にこう言っていた。
私:「じゃあ、そこまで確認しなくて大丈夫です。
受け持ちさんが自分で聞けるように支援してあげてください。」
伝える決心:資料を手に「研修伝達」として話す
勤務が一息ついたタイミングで、私はPさんに声をかけた。
私:「この間、指導者研修に行ってきたんです。
役職者には伝達している内容なんですが…Pさんにも共有したくて。」
“あなたが悪いから言っている” のではなく、“研修内容の伝達という建前”を使って、
安心感のある場をつくった。
◆私が伝えたポイント
① 指導と支援は違う
私:「病棟は学校ではないので、ティーチングだけでは育ちません。
フォローは “教えること” だけでなく “支援すること” が同じくらい大事です。」
② まず相手の“頭の中”を確認する
私:「Pさんの中に答えがあるのは分かります。
でも、その答えを先に言ってしまうと
受け持ちスタッフは自分で考える経験ができません。
最初に “どこまで理解しているのか” を聞いてあげてください。」
③ 道筋を示す指導にする
私:「相手の答えに足りない部分があれば、
誘導しながら“気づき”に近づけてください。」
④ リフレクションの視点も伝える
私:「Pさんができている“アセスメントの深さ”は本当に強みなので、
それを『気づきを引き出す問い』に変えると、もっと指導力が上がります。」
Pさんは、
大きくうなずきながら、資料にメモをしながら聞いてくれた。
正直、パフォーマンスの香りも感じた。
でもいい。
受け止めようとする姿勢がそこにあった。
それだけで十分だった。
【結果】
私は今日、
ただ「間違っている」と指摘したわけではない。
私は今日、
“あなたの指導力をもっと生かせる方法がありますよ”
と伝えた。
そしてPさんは、
「今日の朝の関わり、いけなかったなあ」と何度も振り返っていた。
その言葉が本心かどうかは、正直まだわからない。
でも――
相手の心に、考えるための“フック”は確実に引っかかった。
これでいい。
まずはそれで十分。
【まとめ】
今日の出来事で改めて感じた。
⭐ 人を変えるのは「正しさ」より「関わり方」
⭐ 指導の改善は、相手の尊厳を守りながらでないと続かない
⭐ 伝えることはストレスだけど、伝えない方が病棟はしんどくなる
⭐ 大事なのは、今日より少し良い“明日の指導者”をつくること
私は今回、病棟の未来に小さな一石を投じた。
たった一人のスタッフの関わりが変わるだけで、
新人の1日が変わり、教育文化が少しずつ育っていく。
今日の一歩は、そのための大事な大事な一歩だった。



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