― 10分で変わる、看護師の考える力(血圧編)―
新人教育で最も難しいのは、知識を教えることではなく
“考える力(臨床推論)を育てること” です。
血圧が高い。
この“よくある情報”をどう扱うかで、新人の成長は大きく変わります。
今日は、実際の新人との関わりをもとに
10分で臨床推論が育つ指導法
を紹介します。
■「血圧が高いです」では育たない。教育は“質問”から始まる
ある新人さんが、こう報告してきました。
新人ナース👩:「〇〇さんの血圧が高いんです」
その瞬間、私は必ずこう返します。
私:「なんで気になったの?」
報告を受け取るだけでは成長はゼロ。
質問によって、新人の「考える場所」が動き出します。
■ 情報を“見る”だけでなく、“読む”力を育てる
新人ナース👩:「動脈硬化が進むと思いました」
確かに悪くない視点。でも、まだ浅い。
私はさらに質問を重ねます。
私:「血圧の薬って、飲んでいる? 」
新人ナース👩:「あ…見てませんでした。昼でした!」
ここで、新人の中で
情報 → 解釈 → 気づき
がつながる瞬間が生まれました。
そこから私はヒントを小出しにしていきます。
■“様子を見ていい血圧なのか?” を一緒に考える
血圧だけでは判断できません。だからこそ、問い続けます。
- 心機能は?
- 呼吸状態は?
- 検査値は?
- 利尿は?
- 脈拍は?
- 今の訴えは?
新人は情報を1つずつ照らし合わせながら、
少しずつ“全体の中で血圧を理解する”姿勢へ。
そして最後に、新人自身がこう言いました。
新人ナース👩:「これは経過を見てよい状態だと思います」
この一言が、臨床推論の成長です。
■ この10分で身につく“臨床推論の土台”
🔍 多角的にアセスメントする力
🔍 血圧に引っ張られず、全体を見て判断する力
🔍 根拠を言語化する力
🔍 自分で導いた答えとして記憶に残る強い学び
新人が自信を持って患者を受け持てるようになる最初の一歩が、
たった10分の関わりで育つのです。
■ なぜ質問型の教育で臨床推論が育つのか?
① 質問で“理解の深さ”が見える
どこで迷っているかがわかるので、無駄なく適切に支援できる。
② ヒントを小出しにすることで“思考の余白”が生まれる
余白があるからこそ、新人は自分で考え始める。
③ 否定しないことで“気づきの瞬間”が訪れる
この瞬間は、目の表情で分かります。
気づいたことは絶対に忘れません。
④ 最後に一緒に“答えをまとめる”
理解 → 定着 → 実践
この循環が自然に作られる。
■ 血圧を通して新人が変わること
- 「なんとなく」看護がなくなる
- 根拠のあるアセスメントができる
- 報告の質が変わる
- 優先順位の判断が早くなる
- 血圧に惑わされず、全体像で考えられる
これは、新人が
“看護師としての軸” を持ち始める瞬間です。
おわりに ― 正解を教えるのではなく、「正解に近づく思考」を育てる
私たち教育者が育てたいのは、
前もって答えを知っている新人ではなく、
目の前の情報を読み解き、自分の頭で判断できる新人。
その力は、特別な時間ではなく
日々の10分で育てられる。
これからも、現場での小さな10分を積み重ねながら
新人の“考える看護”を育てていきたいと思います。



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