— 看護の原点になった“はじめての仕事”からの学び —
「あなたの声を聞いていると元気が出るよ」
「なんか違う。あなたはこの病棟で一番よかったスタッフだよ」。
そんな言葉をいただくたびに、私はふと原点に立ち返ります。
看護師として働く今、患者さんへの向き合い方に強く影響を与えているもの。
それは、大学時代の居酒屋アルバイトの経験です。
人見知りだった私が飛び込んだ居酒屋の世界
大学生になるまで、私は店員さんに「スプーンをください」と言えないほどの人見知りでした。
ですが、「自分の好きなものを買うお金は自分で稼ぎたい」と、
親に内緒で居酒屋のアルバイトに応募。
合格してから報告すると、当然ながら怒られました(笑)。
でも、その居酒屋には私の人生を変える出会いがありました。
「大感謝一丁いただきましたー!」の意味
店長さんは、お客さまに居心地よく過ごしてもらうための“プロ”でした。
たとえば、ビールが残りわずかになったタイミングで「おかわりいかがですか?」と声をかける。
お皿が空いたら「お下げしてもよろしいですか?」と自然に聞く。
注文が入ったら厨房に大きな声で「追加オーダーいただきましたー!」と叫ぶ。
すると厨房スタッフや他のホールスタッフが「ありがとうございまーす!」と返す。
その一連の流れに、サービス提供者としての責任と連携が詰まっていました。
真剣に怒られ、真剣に向き合ってもらった日々
もちろん、店長や料理長と衝突したこともあります。
でも、親以外から本気で怒られる経験は新鮮でした。
そして、自分が教えてもらったことを新人スタッフに伝える側にもなりました。
そこで私は、「サービスを提供する人間は、相手が何を求めているかを先回りして気づくことが大事なんだ」と知りました。
看護の現場で生きている、あの視点
ICUで働く今、患者さんの言葉の裏にある気持ちをくみ取ること。
必要なケアを、必要なタイミングで届けること。
そして、相手に「自分は大事にされている」と感じてもらうこと。
どれも、あの居酒屋で学んだことが生きています。
もしかしたら、「ありがとう」と言われるたびに思い出しているのかもしれません。
まとめ:新人としての貢献とは
新人だった頃、「新人として自分にできることは何か?」と考えたとき、私が出した答えは、
“一日でも早く仕事を覚えること”、“疾患や看護を理解すること”でした。
サービスをする立場に立つことで、自分の存在が組織やチーム、そして患者さんのためになる――。
その原点は、あの居酒屋にあります。
次回は、私がアルバイトの中で「教える側」となった経験が、
今の“教育観”にどうつながっているかを綴ってみたいと思います。
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