経験があっても、できないことはある
最近、部署異動してきた経験豊富な看護師の教育をサポートすることになりました。
その方は看護師として長い経験があり、疾患に関する知識も持っています。
しかし、長く離れていた環境では、業務の流れやシステムも変わっています。
知識があることと、今の病棟でスムーズに動けることは、必ずしも同じではありません。
そんな中、周囲からは、その方の働き方や業務への取り組みについて厳しい意見も聞こえてきました。
指摘するだけで、何かが変わるのだろうか
正直に言えば、周囲の意見がすべて間違っているとは思いません。
本人が誰よりも一生懸命取り組んでいるかと聞かれれば、そうとも言い切れません。
改善しなければならないことも、確かにあります。
でも、私は考えました。
「できていない」と指摘するだけで、その人はできるようになるのだろうか。
課題を指摘することは必要です。
しかし、その先にある「どうすればできるようになるのか」を一緒に考えることも、教育では大切なのではないでしょうか。
それでも、私はサポートしたい
人手不足の病棟では、一人ひとりの力がとても大切です。
その方には、これまで積み重ねてきた知識と経験があります。
今の病棟で必要な業務を身につけることができれば、病棟を支える力になってくれるかもしれません。
そう考え、プリセプターと一緒に本人と話し合うことにしました。
まずは日勤で自立するために必要なことを整理し、一つずつ目標を立てて取り組んでいく。
私たちの話を、その方はうなずきながら聞いてくれました。
そして最後に、
「お願いします」
と言ってくれました。
私たちは年下です。もしかすると、複雑な思いもあったかもしれません。
その言葉が本心だったのか、社交辞令だったのかはわかりません。
でも、私はその言葉を信じてみたいと思いました。
私たちが大切にしたい3つのサポート
今回、プリセプターと一緒に支援を進めるうえで、大切にしたいことを3つ整理しました。
① 周囲の評価だけで判断せず、本人の話を聞く
周囲からの評価も大切な情報です。
しかし、それだけで本人の能力や意欲を判断するのではなく、まずは何に困っているのか、
どんなサポートが必要なのかを確認したいと思います。
「今の業務で、一番困っていることは何ですか?」
本人の言葉を聞くことが、支援の第一歩になると考えています。
② 「できない」を具体的な目標に変える
「仕事ができない」「もっと動いてほしい」
こうした言葉だけでは、本人も何を改善すればよいのかわかりません。
例えば「もっと動いてほしい」という意見があれば、
「どの場面で、どのような行動ができるようになってほしいのか?」
と具体的に考える。
そして、日勤で自立するために必要な業務を整理し、一つずつ達成できる目標に変えていきます。
漠然とした評価を、具体的な行動目標に変えることが大切だと思います。
③ 教育担当者だけで抱え込まない
教育は、一人の力だけではできません。
プリセプターと協力し、本人の目標や課題を共有しながら、
病棟スタッフにも必要な協力をお願いしていきたいと思います。
例えば、
「今月はこの業務の習得を目標にしているので、一緒に勤務するときに確認してもらえますか?」
と伝える。
指摘するだけでなく、できるようになるための関わりを病棟全体で考えていく。
そんな環境をつくっていきたいと思っています。
教育とは、可能性を簡単に諦めないこと
もちろん、サポートする側だけが頑張っても、人は成長しません。
本人が課題に向き合い、行動していくことも必要です。
今回の取り組みがうまくいくかどうかは、まだわかりません。
それでも、最初から「できない人」と決めつけるのではなく、
できるようになるために何が必要なのかを考えたい。
指摘するだけで終わるのか。それとも、一緒にできる方法を探すのか。
私は、後者を選びたいと思います。
人を育てるということは、相手の可能性を簡単に諦めないことなのかもしれません。
まだ始まったばかりの取り組みですが、これからも本人と向き合いながら、一歩ずつ進めていきたいと思います。


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