先日、2年目のプリセプターを担当している4年目のスタッフからこんな相談を受けました。
「相手にアセスメントしてもらえるような声掛けが難しいです。」
そして、その日の4年目のフォローが終わった後にこんな言葉をかけてくれました。
「アセスメントするような問いかけを自然にしていて、すごいなと思いました。」
その言葉を聞いて嬉しくなった一方で、自分では特別なことをしている感覚はありませんでした。
なぜなら、普段から意識しているのは「答えを教えること」ではなく、
「考えるきっかけを作ること」だからです。
アセスメントは知識ではなく思考の習慣
看護師に必要なのは知識です。
しかし、知識だけでは患者さんを守れません。
患者さんの状態は常に変化します。
だからこそ、
- この治療にはどんな目的があるのか
- この後どんな変化が起こるのか
- 異常が起きたらどう対応するのか
を考える力が必要になります。
私は後輩と関わる時によく質問をします。
- 先生はなぜこの治療を選んだと思う?
- この処置をしたら患者さんはどうなると思う?
- 今後どんなことが起こる可能性があるかな?
- もしそうなったら何を観察する?
答えを伝える前に、まず考えてもらう。
その積み重ねがアセスメント力につながると思っています。
「わからない」を責めない
もちろん、すぐに答えられないこともあります。
そんな時に大切なのは、相手が答えられないことを責めないことです。
例えば、
「どうして血圧が下がると思う?」という質問が難しそうなら、
「今の患者さんで気になることは何かな?」と質問の角度を変えます。
「あー、答えられなかった…」で終わってほしくないからです。
私はよく、
「間違えてもいいよ」
「自分なりの考えを聞かせて」
「分からなかったら一緒に調べよう」と伝えています。
正解を当てることよりも、自分の考えを言葉にすることの方が大切だからです。
実際によくある問いかけ
例えば、医師が利尿剤を増量した場面。
こんなやり取りをすることがあります。
私:「先生はなんで利尿剤を増やしたと思う?」
スタッフ:「むくみがあるからですか?」
私:「そうかもしれないね。じゃあ利尿剤が効いたら患者さんにはどんな変化が起こる?」
スタッフ:「尿量が増えると思います。」
私:「他には?」
スタッフ:「体重が減るかもしれません。」
私:「そうだね。じゃあ何を観察する?」
このように、一つの答えで終わらせず、次の問いにつなげていきます。
すると自然と、
治療の目的
↓
予測される変化
↓
必要な観察
↓
異常時の対応
という思考の流れが身についていきます。
本当に育てたいのは「相談できる看護師」
新人や若手スタッフにはよく伝えることがあります。
それは、
「将来は医師と治療や患者の病態について考えを共有できる看護師になってほしい。」
ということです。
自分で考え、自分の意見を持ち、医師や多職種と話し合いながら
患者さんにとって最善の方法を考えていく。
それが看護師として大切な力だと思っています。
でも同時に、
「全部を一人で抱え込まなくていい。」とも伝えています。
困った時はリーダーでも先輩でもいい。
大切なのは、「私はこう考えています。」と自分の考えを持って相談することです。
明日から使える教育のポイント3選
① 答えを教える前に「どう思う?」と聞く
まずは相手の考えを引き出す。
② 答えられなければ質問を小さくする
難易度を下げることで思考を止めさせない。
③ 間違いを歓迎する
「間違えてもいいから考えてみよう」と伝える。
まとめ
教育とは、答えを渡すことではなく、考える力を育てること。
そしてアセスメント力は、一度の指導で身につくものではなく、
日々の問いかけの積み重ねの中で育っていくものだと思います。
これからも、相手の答えを待ちながら、一緒に考えられる教育を続けていきたいと思います。


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